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災害看護とは

刻々と変化する状況の中で被災者に必要とされる医療および看護の専門知識を提供することであり、その能力を最大限に生かして被災地域・被災者の為に働くことである。したがって、被災直後の災害救急医療から精神看護・感染症対策・保健指導など広範囲にわたり、災害急性期における被災者・被災地域への援助だけでなく災害すべてが災害看護の対象となる。

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投稿者: admin 投稿日時: 2019-10-4 9:55:52 (46 ヒット)

第4報 DNSO活動報告書 2019年9月28日(土)

活動者:芹口順子、立田朋子

1. 活動の概要

活動日時:9月28日(土)9:00〜16:30
活動場所:千葉県館山市船形地区、西岬西地区
支援目的:健康相談
活動日状況:
 天候は晴れ。温度28℃、風はほとんどなし。
 停電は本線仮復旧しているが、変圧器周辺で停電箇所もあり。
 避難所は2ヶ所、計22名。今週末で2名出る予定。

2. 活動の実際

8:03

秋葉原発 「特急さざなみ」乗車
(7:20発JRバス満席にて乗車できず:予約は必要!)

9:00

館山市役所救護本部ミーティング
災害対策本部 救護本部ミーティング

【参加者(参加者数):活動内容】

  • 健康課 保健師(4)
  • 神奈川チーム(3):避難所健康相談
  • 日本ホスピス在宅ケア研究会(1):ボランティア救護対応
  • DNSO(2):船形地区・西岬西地区 健康相談

9:25

館山市役所出発

  1. 西岬西地区健康調査開始(館山市保健師・包括支援センター菜の花 介護支援専門員・立田)
  2. 船形地区健康調査開始(館山市保健師K氏・芹口)
    罹災証明の申請書手続きのための来訪者を対象に健康相談

9:45頃

車窓からブルーシートに覆われた屋根を確認。途中、折れた木々も目立ってきた。

9/15 DNSOの先遣隊で訪れた時、車で富浦の道の駅で昼食を摂った。今回は、車窓から富浦を確認。やはり、ブルーシートが生々しい。

10:08

館山駅到着
徒歩にて館山市役所へ、約10分。途中、ボランティアの方々とすれちがった。館山市役所近くに災害避難所発見!

台風で大風が吹き、電気が消え暗闇が始まったあの日、人々はどれほど怖かっただろうか。


10:10

活動開始:
 り災証明の申請手続きのための来訪者を対象に健康相談。一人ずつ声掛け行い、健康相談コーナー(テーブルセッティング)へ案内→血圧測定を促し、聞き取りを行った。
(館山市役所 健康福祉部健康課 準備された健康相談表へ記入)切れ間なく来訪者続いたため、対応継続


12:10

午前の活動終了

12:30

活動再開
・午前中と同様に健康相談

15:45

災害対策本部 救護本部 デブリーフィング

16:00

DNSOチーム デブリーフィング

16:30

解散

【配布資料】

3. 活動から得た情報・状況

(1)健康相談 西岬西地区

 9:00~罹災証明書申請手続き受付開始。開始直後に40名弱来訪、受付後、帰宅。
 健康相談 計 21名(立田担当12名)

【相談事例】

A氏 男性 70歳代
 市外在住であるが、両親の空き家があり、片付けや対応のため、2週間程のこの地区滞在中。既往に高血圧があり、内服コントロール中だが、以前から血圧高値。今の食事は自宅から冷凍してきた物や出来合いのものが多い。自宅は雨漏りし、カビが発生。
→生活指導(特に食事)、カビ対策・感染症対策指導。
・ B氏 女性 40歳代
 市街在住。知り合いが罹災証明書提出の為、運転してきた。家屋や車などの被害は、あるが対応できている。災害後、イライラしたり、やる気が起きないことも多い。父と2人暮らし。食事は、ほぼ外食。父は高血圧であり、辛いもの、塩気が好き。
→生活指導(特に食事)、父親の健康管理について指導
C氏 女性 30-40歳代
 子供と一緒に来訪。健康不安はない。自宅が雨漏りで濡れており、使える部屋が一部屋しかなく、6畳4人で暮らしている為、畳を上げることが出来ない。他の部屋からのカビ臭が強い。どうしたらいいかわからない。カビが身体に悪いのはわかるが仕方ない。
→カビ対策、畳の乾燥、消毒指導
D氏 男性 30歳代
 市役所職員。発災後、休日が1日。今後も休める見込み無し。立ちくらみがする。食事はとれているが、不眠。アルコール摂取して眠るようになった。不安というのは感じないが、生活リズムが乱れている。職員仲間が突発性難聴になっている。「やるしかない、休みたいが休んでいられない。」
→傾聴。行政を含めて継続的支援は必要。セラピューテック等を提供するリラックスルームの設置はどうか。次回、災害対策本部と話し合い。
E氏 女性 70歳代
 独居。杖歩行。台風後、停電5日間を経験し、不安がある。しかし、外に出て、近所の人と毎日話をしている。また近所に姪が住んでおり、時々様子を見に来てくれる。
→生活指導、傾聴。

(2)健康相談 船形地区

 9:00~罹災証明書申請手続き受付開始。
 健康相談者(19名)及び健康相談以外の指導(2名) 計21名(10名芹口担当)

【相談事例及び情報】芹口担当10名について
性別:全て女性
同居家族:1名以外全て独居
来訪の方法:歩行(2)・バイク(1)・他全て自家用車運転
住宅破損状況
家屋屋根損壊・納屋屋根や壁損壊・ガラス戸及び玄関部損壊・雨どい損壊・畳の雨水による損傷・壁の崩落・天井の崩落・自営業倉庫の崩壊

60~70歳代 女性 HT・DM内服治療中
 自営業・業務用倉庫等の大規模損壊。焦燥感著明な表情を呈し、話し始める。発災後より不眠症状持続。倦怠感強く、食思低下。一度熱中症にて救急搬送。その後、かかりつけ医受診し、点滴を受けている。「辛くて仕方ない」との訴えあり。
→訴えの傾聴。かかりつけ医によく相談し、眠剤等の使用によりまず良眠得られることを説明。水分摂取を促した。
70歳代 女性 逆流性食道炎内服治療中
 長男と同居。屋根の損壊あり。自室は、何とか生活可能も長男の部屋は損壊あり。本人農家、長男会社員も近年夫を亡くし、連続の不幸訴える。停電の時の恐怖感あり、夜間不眠。震災前より長男とのかかわりは良好であるが、頑張っている長男に申し訳ないとの発言あり。しかし、前向き発言みられ、水分・食事共に摂取良好。
→今後、体調不良時は早めにかかりつけ医受診促す。不眠に対しても、眠剤の相談説明。カビ対策指導
80歳代 女性 胃潰瘍・不眠内服中
 独居。家族関係良好、サポート体制あり。屋根の崩壊に伴い、天井の崩落。県内に居住の娘たちが、交代で週末片付けに援助あり。自分がいない間にまた雨が降って、これ以上損壊が大きくなると困る。援助に来る近所の人にいないと申し訳ないので、家を空けることができない。
 話をしているうちに涙を流し、すみません、すみませんと謝り始めた。もともと、かかりつけ医で胃薬と眠剤処方を受けていた。被災後、不眠著明で熟睡ができない。皮膚及び口唇乾燥認め、時間をかけ聞き取り続けると、食事摂取量低下・食思低下、水分摂取500ml/日位が限界の様子。内服も切れているとのこと、受診すすめ点滴等少し受けるよう促すも、人との関りが嫌で病院ですら行きたくない、家に引きこもってると話された。
→身体評価:脱水のリスク・栄養状態の低下・持続する不眠による体力の低下
 精神症状:抑うつ状態・活動性の低下→ 今後も復旧の過程で長期化する旨説明。水分摂取の重要性、生命危機につながることを伝え、配布のイオン飲料を本日から明朝にかけ 500ml飲むよう繰り返し説明
→ADLは完全に自立・認知力の著しい低下ないためサービス介入等ない様子にて保健師へ経過把握の必要性ありと判断の旨申し送りをした。

対応結果
 総じて、独居の高齢女性が多く、不眠・食欲低下・倦怠感等、共通の症状を訴えていた。罹災証明書申請手続きに来られた方々なので杖すら使用された方も無く、ADLが完全に自立されていた。聞き取りの中で、明らかな認知力低下の方なく、しっかり受け答えをされていた。年齢層も高いため、ホームドクターがそれぞれあり、定期受診をほとんどの方がされていた。家屋被害はまちまちであったが、当然、屋根の損傷の場合、居住条件が更に悪化し、カビの発生等による健康被害が懸念される。中には、別荘が被災し、聞き取りの中で、地域住民のコミュニティの重要性と反対に、日常の関係性のジレンマに涙を流しながら話された方もいた。しっかり思いを言葉に出して話していただくことに重きを置き、傾聴することに努めた。

4. アセスメント・課題

 今回の健康相談では、全体的に、睡眠・食事は取れているが、心身ともに疲労がみられ、生活のバランスが崩れる事で、持病のコントロールが不良になっている印象があった。また、多くが、家屋の損壊による雨漏りなどから室内にカビが発生しているが、その対応に難渋しており、カビが発生した屋内での生活を余儀なくされている。感染症対策などの指導・健康相談、持病のコントロールの為にも介入は継続する必要がある。

 ローラー作戦では要配慮者を中心に、リスクがある方を作為的にピックアップし、支援に繋いできた。こういった災害弱者と言われる人々には、支援者側も注意しており、沢山の支援の手が入っているように見える。もちろん、メンタルケアや継続的な介入は必要であると思われるが、今回の健康相談の中では、壮年前期の30〜40代を中心に、働き盛りと言われる人達の潜在的なリスクを感じた。

 今回の災害の大きな分岐点は、ライフラインの復旧と、家屋の損壊の程度であると考える。家屋の一部損壊が9割であるが故、避難所を立ち上げるが、殆どの人が在宅避難となった。災害初期にはライフラインが止まり、生活が困難となっていたが、ライフラインの復旧と共に、徐々に復興に向けて動き出しているように見えている。その中で災害弱者に対しては、行政・支援団体、近隣住民も目を配らせているが、壮年前期の年代は、体力・気力共に無理がきく年齢でもあり、仕事や復興作業に追われながらも、問題を自己完結しようとしている為、問題が潜在化しやすい。

 その背景には、「避難所」があると考える。我々は、災害=避難所支援を想定している部分がある。今回のように、ほとんどの人が在宅避難をしていることで、ライフラインの復旧に伴い、表面的には日常を取り戻しつつあるように見えるが、支援団体が少ないことや、徐々に撤退していくこと、「避難所」支援が少ないことで、問題が減っている様に見えているからではないかと解釈される。住民の立場から考えても、避難所に避難していれば、情報交換が可能となり、被災したのは自分だけではないと、避難所にいることに対する羞恥心も軽減していき、年齢問わず、支援の介入が容易となりやすい。しかし、今回は、ほとんどが在宅避難であるが故、室内で起こっている問題に関しては、住人が情報を止めてしまえば、介入が困難となる。特に、壮年前期は、日中働きに出ており、子育て・自宅の復興作業、被災の手続きなど、多忙を極める。地域柄、近隣とのコミュニティが密である為、自宅がカビに侵されていても、自分だけ少人数の避難所に行く気持ちにはなれないのではないか。そして、自宅にカビが生えている、臭いもある中に、人を招きたくない、自分たちでなんとかしたいという気持ちが、健康相談の匿名などにつながるのではないであろうかと考える。行政も各窓口を通じて、できるだけの情報の開示や各種のプリントの作成・配布し、賢明に活動を展開している。しかしながら、偏った情報(具体的には)の伝播により、必要、且つ被災された方々の耳に直接届いて欲しい情報が届いていないのが現状のように考える。

 今後、こういった「隠れた支援を必要とする人」をいかに引き出せるかが大事となるように思う。年齢や要配慮者等、限られた条件にとらわれず、潜在的な問題に目を向け、一つずつ問題の抽出作業を行うことが求められているのではないだろうか。限られた環境条件の中、私たちDNSOは少しでも早い時期に、少しでも速くニーズに即した活動を行い、被災地に繋いでいかなければならないと強く思った。